PAVANASARAを始めてもうすぐ一年

嫌なこともいっぱいあった。

笑った日よりも、怒っている時間、泣いている時間のほうが多いのでは?

とか、そんなことがちっぽけに感じる、出来事があった。



工房スタッフのサアエム。

彼女は口数は少ないがほかのスタッフより人一倍真面目で頑張り屋。
パヴァナサラで働き始めたころには、お腹に子供がいて、しかも、働き始めてすぐに、旦那がけんかに巻き込まれて止めようとし、相手にけがをさせ、刑務所に入ってしまった。二人の初めての子供は旦那が刑務所にいる間に生まれた。

借金をして保釈金を払い、和解金を支払い、旦那は出所。大きな借金を抱え、家族も増え、夫婦そろって頑張っていかねば、と働いているように見えた。

先日、工房のリーダーから「サアエムがだんなとケンカして別れることになった。両親はすでに他界し戻る家もなく、身寄りとなる兄弟も頼れるような関係ではない。この工房で寝泊まりしてもいいか?」と。

もちろん、私も、工房としても問題はない。
が、子供と二人で広い工房に二人っきりは心細いしさみしいだろう、と思っていると「荷物だけ工房に置かせてもらって、寝るのはうちの家でもいい」、とリーダー。もともとサアエムとは姉妹のように仲が良く、パヴァナサラへ誘ったのもリーダー。

「私もそのほうが安心」、と伝えしばらく様子を見ることに。


数日たって、サアエムに近況を聞いた時のこと。


「私は、だんなと別れることになってむしろ泣くことがなくなった。一緒にいるときは夜いつもケンカになって一人で泣いていた。唯一昼間仕事に来ることが楽しいひと時だ。みんなと一緒に働いて、一緒に話して、一緒に笑って、工房に来るのが楽しい。」と。


こんなこと言われたら、もう、もう、もう今までの私の苦労が半減(あくまで、半減 笑)。



やっぱり、そうなんだ。
私は間違っていなかった。
家内工業で家で、もくもくと仕事をしつつ、ここ数年で辞めていったバッグ作りの村人たち。

彼らも、家の近くに仕事場があって、いろんな人たちと交わって、笑ったり、仕事でぶつかって時には嫌な思いをしたって、また笑って、そういう環境が必要だったんだ、って。特に教育をきちんと受けられなかった村の女性たち。楽しいことも苦労も共にする「仲間」が必要だったんだ、って。

改めて思った。


そして工房をオープンして一年がたとうとするこの時期、
これからも、いや、今まで以上に頑張らなければ、と。



動画はサアエムともう一人のスタッフの合同誕生会。中央赤いパーカーを着ているのがサアエム。だっこされている赤ちゃんが彼女の子供。みんなにかわいがられまくり。(ケーキ代わりのビールタワー)